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打楽器を勉強し、独学で作曲し、ときどき鍵盤ハーモニカを演奏する ”ボブ”と呼ばれる音楽家・渡邉達弘のホームページです。

Chaos Game -for Percussion Ensemble- op.108

Chaos Game -for Percussion Ensemble- op.108

・楽器編成:打楽器五重奏
・使用楽器:Marimba(4oct.)、BassMarimba、Vibraphone、Tri.、Conga、Cajon(C.Cym)
・演奏時間:約6分
・脱稿日:2012.04.24
・初演日:2021.1.24
・初演者:岩手県立福岡高等学校吹奏楽部 打楽器パート

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<解説>
この曲は2012年に作曲した打楽器五重奏です。
作曲に際して“DCPRG”の音楽に非常に強い影響を受けたことをここに告白します。初めて聞いたときには衝撃を受けました。一見、体を揺らして聴きたくなるようなノリの良い音楽なのですが、当たり前にノレなくなるというか、リズムが分からなくなるような…。原理的には巧みなポリリズムによって複数の拍子が同時に演奏されているように感じられる音楽なのですが、目から鱗でした。そんな音楽を作ってみたい!と思い、作曲したのが本作です。

曲名の「Chaos Game」は数学用語で、定義としては「多角形とその内部のランダムな点を使ってフラクタルを作る方法」を指すそうです。数学を専門としない僕にはこの説明ではサッパリ分からないのですが、「全体と部分が相似関係(=フラクタル)にある図形を描く方法」と思っていただければ、あながち間違ってはいないと思われます。

ここから先は僕の勝手なイメージですが、Chaos Gameによって描き出されるフラクタル図形にズームインしていくと、どこまでズームしても同じ形が次々に生まれてくるように見えて気持ち悪い(または心地よい)眩暈を覚える感覚があって、そういう「気持ち悪い(または心地よい)」を同時に出力させるカオスな機構を、この曲ではポリリズムに託している、という感じなんです。

かなりマニアックな内容・考えによって構成されている楽曲であることは十二分に理解しているつもりですが、リズムに眩暈を覚えるようなグルーヴの快感が、或いはミニマル・ミュージックに似た中毒性を持つこのシステムが、さらにはその実に微妙なバランスで均衡を保つような感覚で演奏されることで織り成されるであろう音楽の混沌が、僕の心を掴んで離さないのです。
もう、この曲は書かずにはいられなかったのです。


●DEMO

www.youtube.com

○演奏動画(音源)

 

☆楽譜

www.bluemallet.com